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(暗雲立ち込める時期)


(あらすじ)
おき子とハヤオの距離が離れてゆく
書きそびれてる結婚招待状の束



おき子、起きたての意識朦朧の状態
ゴミを出すため階段を駆け下りる
寝ぼけ眼のおき子
AIダストボックス「収集時刻は過ぎました」

おき子驚く

AIダストボックス「なにかご質問ございますか?」

おき子「ゴミ出しボックスもAI化しとるがな」
うろたえながら
おき子「蓋開けて」

AIダストボックス「収集時刻は過ぎました、次回は月曜日の8時です」

ゴミ出しのAIに拒否られる

おき子唖然


ご近所チラ見
ジロ〜〜〜〜



タイトル「朝☀おき子さん」
step29「置き去りの招待状」





<シーン>

(おき子、ナレ)
「私はこのテーブルに積み重ねられた
結婚招待状を書けないでいた」


<回想>

OKITE「大変リスクのある結婚だと思います」
OKITE「ハヤオさんはただ気の小さいだけの男です」
OKITE「おき子さん、ほんとにハヤオさんと一緒になって、幸せになれそうですか?」

〈回想終わり〉


おき子ため息



〈シーン〉「風見鶏がいっぱい見えるヶ丘公園」にて/夕刻


ベンチすわるおき子(いつもの席)
バックの中のOKITE


OKITE「おき子さんは今
変化の時を迎えています
不安に感じることもあるでしょうが
受け入れて準備をしましょう」

おき子「なんの準備よ?」

OKITE「ハヤオさんとの関係を終わらせる準備です」

おき子「ハッキリと言うよね」

OKITE「少なくとも
結婚は先送りに…
おき子さんもそう思ってるはずです
心はハヤオさんから、すでに
離れてるんじゃないですか?
いや、そもそも、ハヤオさんに対して…」

おき子「それ以上言わんとって
わかってる」

OKITE「はい」


遊歩道歩く


おき子「はあー
あんたはわからんと思うけど
人間はな、頭では理解しても
心がついていかへんんの」

OKITE「おき子さん
解決策はあります
一緒に考えてゆきましょう」

しばらく、歩きながら
夕焼け

なかなかゴールを決められない
サッカー少年


おき子「あの子の夢はプロサッカー選手かなぁ…
わたしの夢は…ただの朝起きやで…
おまけに、そのコーチのAIが、婚約者との別れろ言うて来てるねんで…なんじゃそりゃ…やんな…」

OKITE「おき子さん、悩んだり、落ち込んだり
その対処や原因を
人間は歴史の中でずっと探求してきました
あらゆる心理学者や科学者
教育学者がその答えを
さがし求めてきたのです
おき子さんが今
新しく一から探求する必要はありません
先人の知恵を大いに参考にしたらいいです
あらゆる知恵のビックデータを
私が集約し要点をまとめて
おき子さんに伝わる言葉で、よりパーソナルなメンターになるよう努めます
今おき子さんに本当に必要存在が
朝起きコンシェルジュOKITEのなのです」

おき子「自分のCM」

OKITE「私はかなりの正確さで
おき子さんへあらゆるアドバイスすることができます。
おき子さんの未来にとって大事な決断を
ご一緒させてください」

おき子、なんとなくOKITEを無視しながら

散歩の犬が近づく

おき子、かわいいなーという気持ちで
近寄って頭を撫でる

通り過ぎる


おき子「ロボットやった」

OKITE「最新型ですね」

おき子「リアル過ぎて撫でんとわからんかったわ」

OKITE「いずれ区別がつかなくなる日が来ますね」

おき子「あのオバちゃんの方もロボットになっても気づかん時代来るな」



夕暮れ


<シーン>ハヤオの会社/夕暮れ


部品の検品中


B「なんだ?なんか、にやけやがって」

ハヤオ「え?にやけてました?」

B「エロい事でも考えてた?」

ハヤオ「ははは、企画、うまくいきそうなんです」

B「そうか、こないだの企画」

ハヤオ「はい、企画部でのプレゼン、相当手応えあったって、具体的に動しだしたらしいんです」

B「ほー」

ハヤオ「製品になれば、それはもちろんうれしいですけど、何より僕が使いたいんです、はやく、とくに妻に使わせてあげたい。朝日とともに明るくなる部屋全体が…」

B「今は検品に集中しろ」

ハヤオ「あ、はい」

終了
着換え

タバコをすう同僚B
ハヤオの企画書に目を通しながら

ハヤオ「管理部からってだけでも
本来の企画部のメンツもつぶれるってこともあろーにな、通ったら、ただごとやないな」

ハヤオニンマリ

B「ん?でも、この企画のメンバーに
お前の名前入ってないよ
あいつ名義になってる」

ハヤオ「そ、そうなんですね、気づかなかった」

B「同僚に手柄を奪われるで」

ハヤオ「…」

B「それにな、お前この間、あいつから子供が熱出したとか言うて、出張代理してたやろ?」

ハヤオ「あ、はい…」

B「あいつ、子供おらんし、結婚もしてないで」 

ハヤオ「…」

B「おまえ、ええように利用されてるだけちゃうんか?」

ハヤオ「…」

B「おい」

ハヤオ「…」

B「一度、ゆっくり飲みに行かへんか?」

ハヤオ「…はい…」




<シーン>リビング/夜


寝入りのOKITEの教訓
おき子布団の中

OKITE「明日こそ、元にもどしましょう」

おき子「このままでは寝坊が習慣化してまうね」

OKITE「今戻せば大丈夫です」

おき子「うん、明日こそ起きる!
ちょっとここんとこ乱れたけど
立て直す」

OKITE「はい」

おき子「最後のチャンスやもん
私の最後のチャンス」

OKITE「…」

おき子「朝起きが習慣化したら、OKITEは必要なくなるやろ?」

OKITE「…」

おき子「そしたら、電源切って、マトリョーシカとして、リビングに飾ってあげるからね、ははは」

OKITE「朝のルーティンを再開しましょう」

おき子「なんで無視やねん」

OKITE「朝の時間を有効に
上手く時間を使っておき子さんの未来の夢を叶える
朝は夢を見る時間ではなくて
夢を叶える時間です」

おき子「…ほんと、そうね、
朝は夢を見る時間ではなくて
夢を叶える時間
いいお言葉いただきました
明日は朝起き成功させる」

OKITE眉を動かす

おき子「わたし、ハヤオさんとは別れへんからね
結婚して、スーパー主婦になるんやから」
目をつむるおき子

OKITE「…」


寝入る おき子





<シーン>暖炉のあるリビング/夜


火の消えかかってる暖炉


テーブルの上には
書きそびれてる結婚招待状の束



ハヤオ、家にかえって
おき子の寝顔を確認
鼻にでっかい鼻風船
そっと扉をしめる


リビング、冷蔵庫から小瓶の梅酒を取り出し
テーブルに腰掛ける


〈回想〉

それにな、お前この間、あいつから子供が熱出したとか言うて、出張代理してたやろ?」

ハヤオ「あ、はい…」

B「あいつ、子供おらんし、結婚もしてないで」 

ハヤオ「…」

B「おまえ、ええように利用されてるだけちゃうんか?」

B「一度、ゆっくり飲みに行かへんか?」


〈回想終わり〉


テーブルの上には結婚招待状の束

問題が山積…
頭を抱えて座り込む






つづく



毎回、最後にミニコーナー
おき子さんの朝起きへの道、ステップその29

朝は夢を見る時間ではなくて
夢を叶える時間です
だーーって!



「朝☀おき子さん」また来週!

 

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