(状況説明と登場人物の紹介)
(あらすじ)
夜型人間のままでよい、おき子は夜の仕事を選び、夜に生きることを決意。
仕事仲間でもあった「独身夜型女性の死」をきっかけに、夜型への恐怖がつのる
このまま夜型でいいのか…
<シーン>前回からのつづき
元カレ「ラストチャンスやで」
それでもアカンかった
死にたくなった
何度もあやまりのメッセージを送ったが
時間を巻き戻すことはできなかった
おき子「病気でもない
だったら、なんでやねん!」
おき子「うえーん!」
涙
タイトル「朝☀おき子さん」
<シーン>おき子の過去
(おき子ナレーション)
「私は朝はむり
もう抗うのはやめよう
私には朝は必要ない
そう、私には夜がある
夜はこころが落ち着くし
ほんとの自分になれる気がする
誰にも邪魔されないたったひとりの
贅沢な時間(賢治の読書タイム)
私は夜が好き
自分の心と向き合うことも出来る
それにくらべて昼間の自分は
ほんとうの自分じゃない感じがする
仕事も夕方からの夜の仕事を選べばいい
いくらでも朝寝坊できる幸せ
私はこの幸せを
死守する
朝はいらん
私は夜に生きる
ひとりでもさみしくない
気楽なもんよ」
夜のバイトを転々と…
<シーン>バイト、工場/深夜
介護ロボットのメンテやりながら
(ちょっとおもしろい動作で)
(おき子ナレーション)
「一番最近までやってた仕事は
レンタル介護ロボのメンテナンスだった」
おき子「朝までに、あと3体か…」
(おき子ナレーション)
「職場で出会った眉崎さんは
けっこういい年齢の独身女性で」
眉崎さん「気楽なもんよ
ぜんぜんさむしくないよ」
おき子「さむしく?」
眉崎さん「さむしくないよ∼
さむいとさみしい合体させて
さむしく言うねやん」
おき子「はあ…」
眉崎さん「おき子ちゃんも
周りから言われるやろ?
結婚は?子供は?って
気にすることないで
そんな人は結婚や子供が
そのままイコール幸せなことやと思てんねん
私の友達であんた
結婚してから不幸になった人
どんだけおると思てんのよ
夫婦なんてあんた
最初は見えんかった相手の嫌なとこ
が気になりだすねん
え?どない? 食べるときの音
くしゃみの仕方や
なんかイラッときたら
あんたそれ一生つづくんやで
最初は小さな嫌な部分でも
あんた、それが積年の恨みになんねん
最後は殺し合いや
独り身ならばいつでも好きなものを買って
好きなものを食べ、好きなところへ行く
自分の好きなようにお金を使う事ができる
結婚してしもたら相手の生活の
リズム合わせんといかんし
相手の家族とも上手にお付き合い
やってられるかっちゅーねん」
おき子、眉崎さんの覚悟できた生き方わ考え方に
圧倒されながら、恐る恐る聞いてみる
おき子「でも…ずっとひとりやとさみしくないですか?」
眉崎さん「さむしくないよ」
おき子「あ、さむしく」
眉崎さん「自分らしゅー生きれればそれでええんや
まあーうちも
昔は結婚も考えたことあるけどな
でももうさすがにもおええわ
モテたんやけどな」
おき子「モテてたんですか?」
眉崎さん「モテたがな∼
やりまくったったけどな!
んもう!何言わすん!」
(眉崎さん顔を赤らめる)
おき子「…」(キョトン)
眉崎さん「ひとりが気楽よ
24時間自分のものや
だからこんな深夜の真夜中の時間にも
働けるんやん
老後の孤独の心配とか言われるけど
そんな時代やないがな
老後は介護ホーム恋愛三昧
ほんでこのロボや
ええ話し相手や
最近イケメン介護ロボもおるんやで
時代が変わったがな」
おき子「はあ」
眉崎さん「そんな生活も資金は必要やろ?
もうちょい働かんとな∼」
時間は深夜
元気な眉崎さん
(おき子、心の声)
「私も、このおばちゃんみたいに
なるんかな…」
(おき子、ナレーション)
「それからしばらくて
突然、彼女を見なくなり」
<シーン>バイト、工場/深夜
整備士「ああ、あのおばちゃん
亡くなりはった」
おき子「え!!!」
整備士「突然のことや、わしもビックリしたがな
あの年齢で太陽の日浴びんと
夜勤ばっかやってたら身体が蝕まれる
あんたも
深夜の仕事は、はやいうちに足洗いや」
(おき子心の声)
「女ひとりの深夜労働
たしかに、いつまでも
つづけていけるわけにいかない」
(整備士のことば)
「はやいうちに足洗いや」(エコー)
(おき子心の声)
「さむしく
なった…」
〈シーン〉おき子、一人暮らしのアパート/深夜
バイトから帰宅、シャワーを浴びてベッド
眉崎さんの姿が浮かんでは消える
おき子、ベッドで本を読んでる
宮沢賢治「よだかの星」
「お日さん、お日さん。どうぞ私をあなたの所へ連れてって下さい。灼やけて死んでもかまいません。私のようなみにくいからだでも灼けるときには小さなひかりを出すでしょう。どうか私を連れてって下さい。」
行っても行っても、お日さまは近くなりませんでした。かえってだんだん小さく遠くなりながらお日さまが云いました。
「お前はよだかだな。なるほど、ずいぶんつらかろう。今度そらを飛んで、星にそうたのんでごらん。お前はひるの鳥ではないのだからな。」
夜だかはおじぎを一つしたと思いましたが、急にぐらぐらしてとうとう野原の草の上に落ちてしまいました。」
眉崎さんの姿
(おき子、心の声)
「やっぱ怖い…
ひとりで生きてゆくのが
怖い…」
<シーン>昼/喫茶店/風見鶏がアホほど見えるが丘公園
(おき子ナレーション)
「そんなとき
マッチングアプリで
ハヤオさんと出会った(喫茶店デート)」
ハヤオ「銀河鉄道の夜、小生も好きです」
おき子「ほんま?」おき子のりだす
ハヤオ「賢治作品の多くは未発表作品です
この銀河鉄道の夜も今では信じられませんが未発表だったんですよね」
(ハヤオは、いかにも文学青年あがり、自分のことを小生と言う)
(おき子、ナレーション)
「私たちは、宮沢賢治と好みのコーヒー
そんなことから意気投合
何度かデートを重ね」
おき子「次世代透過型… 」
ハヤオ「次世代透過型ディスプレイの開発です」
おき子「これから伸びる分野ですもんね」
ハヤオは技術者で次世代ディスプレイメーカーの管理部員
〈シーン〉風見鶏がアホほど見えるが丘公園/夜
ハヤオ「結婚を前提に…」
おき子、驚きの表情
(おき子心の声)
「話はトントン拍子で…」(両親に合う)
〈シーン〉いつもの喫茶店「AURORA」
おき子「はあ…」
ハヤオ「それでいうと、ぼくは朝型です
小生は朝起きが得意なんです」
おき子「そう、うん」
ハヤオ「それがどうか?」
おき子「あの、私、実は…朝が…
これ、先言うといたほうが…」
ハヤオ「え?いびきがすごいとか?」
おき子「いや…」
ハヤオ「歯ぎしり…?」
おき子「いや、そうじゃなくて…
朝…、起きら…れ…、フニフニ∼∼…」
ハヤオ「え?」
おき子「いや、あの…、つづく!」
つづく
毎回、最後にミニコーナー
おき子さんの朝起きへの道、ステップその3
朝起きたければ、朝起きてまず何をするのかをはっきり決めておきます
「朝☀おき子さん」また来週!