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step01(オープニング)



(あらすじ)
おき子は朝起きれない筋金入りの夜型人間。
結婚を機に、自分のこれまでの生活を見直し、朝起きのできるごく普通の家庭人になろうとするが、やっぱりムリそう…。
おき子が昼前に起きると、婚約者ハヤオはすでに7時起きで出社。
自分が幸せになれないのは、すべてこの朝起きができないのが原因だと思っている。





<シーン>おき子の寝室/明け方/季節は初秋


おき子、布団の上、毛布に包まり
カラダを起こしたまま窓の外を見ている

(夜明けがテーマの曲流れる
もしくは「おき子さんのテーマ」)


(おき子モノローグ、ナレーション)
「明け方
まだ暗い空の底が
徐々にに赤く染まり
鈍い虹色地平線となります
最初に消えてゆく1つ目の星が木星
次に消えてゆく2つ目の星が金星
3つ目の星、月はまだ明るく夜に残り
4つ目の星、太陽が顔をだす
その光に照らされるのは5つ目の星
わたしたちの棲む地球
朝の空の大イベント
いったい何人が今この空を見ているのだろう?
赤から青への美しいグラデーション
太陽が鋭い光線を放つ
鳥が目覚め
華やかな声が耳にひびく
全ての生命が活動をはじめ出す」

おき子、ようやく布団に入り
仰向け、目を閉じる

(おき子、ナレーション)
「そこから
ようやく私は
目を閉じるんです」



おき子「おやすみなさい」

(この頃のおき子は夜型人間
朝に寝入ることが習慣になっている)




タイトル 「朝☀おき子さん」
step01「おやすみなさい」




〈シーン〉近所の朝の風景


誰かの犬の散歩
犬はロボット
飼い主と業者
 

業者「自己学習を持ち合わせておりますから 本物の犬のようにしつけてください 成果が現れるのはずっと先です」(この物語のテーマを示すセリフ)



ジョギングする若いカップル
オバハンが朝のゴミ出し
練習に励むサッカー少年


それぞれがそれぞれの朝の営み


朝、昇った太陽はぐんぐん、昼の太陽の位置までくる



<シーン>リビング/昼


テーブルを挟んで、おき子とハヤオ
テーブルの上には
メモ用紙、ペン、花の活けてない花器



(おどおどしている、ひ弱なおき子)

ハヤオ「いや、大丈夫です
おき子さんは寝ててくれて大丈夫ですから
朝は弱いですもんね、知ってます」

おき子「う、うん…」

ハヤオ「小生は昔から朝は得意なのですよ
ひとりで起きて朝食をすまして出社します
一人暮らしのときから
ずっとそうしていたんですから」

おき子「でも、ずっと甘えるわけには
いかんやろうから、私、がんばります!
新しい生活がはじまるんやもん
今のような二人、生活時間バラバラなんは
ようないもん…うん
いい機会」


(おき子ナレーション)
「来年の春、私たちは結婚する」



おき子「ハヤオさんのお弁当もつくらなあかんもんね
よーし!もう、それやったらもう 朝5時に起きたろ! 」

ハヤオ「いや、ムリしなくても大丈夫ですから」

おき子「ハヤオさんのことも起こしてあげる!
寝坊すんなよー! 」

ハヤオ「そこまで言うんやったら…」

おき子「ん?」

ハヤオ「期待せず、応援します!」


ふたり顔を見合わせて
ニッコリ



〈シーン〉寝室/夜


二人の夜の交わり


おき子「あややややや∼∼! 」
(このシーンはこれから何度もでてくるので、夜の交わりのテーマお願いします)

おき子「ん?早! 」

ハヤオ「いや、早かったかな…」

おき子「いや、ううん
明日はほらもう
早起きせんといかんからね
うん、ちょうどよかった」

ハヤオ「はぁ…ちょうど
よかったですか…」


おき子「おやすみなさい 」
(おき子はおき子の部屋で寝る)

ハヤオ「おやすみ 」
(ハヤオさんはハヤオさんの部屋で寝る
二人の寝入りの時間がいつも違うからである)





〈シーン〉おき子寝室/夜


おき子、布団の上、うなだれている
どよ〜ん…
おき子「あー言うてもーたけど…
さて、どうしたもんやろか…」
(スマホの目覚ましアラームをセット)

おき子、アラーム音の種類、音量いろいろ
試してみる
いろんなアラーム音、波の音や鳥の鳴き声、西洋の鐘の音
ピーピピッピッピッピキピキピキ…

おき子「この、せわしなーいのんにしたろ」


部屋のポスターに手を合わせて
おき子「明日から朝起きできますよーに!」

部屋におき子が好きな宮沢賢治の立ち姿のポスターが貼ってある
おき子は「銀河鉄道の夜」や「よだかの星」「月夜の電信柱」が大好きだ





〈シーン〉夜



グー(おき子特大の鼻ふうせんで寝る)


夜(夜の音)
朝(朝の音)

銀河鉄道の汽笛の音
(朝がやってきた象徴的な効果音)


ピッピキピッピキピッピキ
(目覚ましが鳴る)


おき子「んにゃ! (おき子、特大の鼻風船が割れて、起きて、目覚ましを鷲掴み)
おき子「うるさいっちゅーねん」

(寝てしまう)(朝の音)
ZZZZZ

カーテンの向こう
太陽がパキーーーン!(太陽パキーーーンの音)



時間が経過
おき子特大の鼻風船
部屋に差し込む太陽の光の角度が
変わってゆく


おき子「んがっ!
(おき子、慌てて起きる)(慌てて起きる音)

おき子の顔に太陽の光がサンサンと
その光は朝の光ではなく
昼に近い角度からの光だ


おき子「あっかーんこれ
やってもた
やってもたわ、これ…
やってもた…」

(おき子、寝室からよろよろ出る)

リビングにある壁時計は11時をまわっている

(テーブルの上のハヤオさんの置き手紙を発見)



ハヤオさんの置き手紙
「おき子さん、おはよう
会社行ってきます」
(置き手紙のテーマ音)


おき子読む

おき子「やっぱあかん…
ガックシ…」

テーブルの椅子に座る


ピーピピッピッピッピキピキピキ…
おき子「もお、ええねんちゅうねん」
(スマホのアラームを消す)


テーブルにうっぷして
おき子「はあー
なんとかせんとなあ…
ハヤオさん愛想つかされるのも
時間の問題やな…」
 

(深刻なムード)

(おき子、心の声)
「新婚生活…特別じゃなくていい
普通の幸せでいいの
普通に朝起きて、おはよう言って朝食食べて
いってらっしゃいが言える普通のお嫁さん!
私は生まれ変わるんやから!」



(サスペンス調になって)
マンションを駆け下りるおき子
ゴミ出し、間に合わず!
ゴミを両手にもったまま
おき子走る!清掃車を、追いかける!
走る!走る!走る!が
清掃車行ってしまう…
立ち尽くすおき子 (テンポよく)


(おき子心の声)
「朝、起きる
たったそれだけのこと
たったそれだけのことが
なぜにそんなにできぬのか…」





つづく…




(毎回、最後にミニコーナー)
おき子さんの朝起きへの道、ステップその1

朝起きたければ
朝起きてまず何をするのかを
その前の晩にきっちり決めてから寝ます


「朝☀おき子さん」また来週!


エンディング、クレジット

原作 タナカカツキ
音楽 とくさしけんご
朗読コンテ タナカカツキ

 

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